現在は整形外科クリニックで勤務し、医療サイトを2つ運営、勉強会団体の運営にも携わっています。
みなさん、下記のようなお悩みはありませんか?
臨床で肩関節を見る上で必要な知識を学びたい
肩関節に苦手意識があり、手が出しにくい
肩関節疾患患者さんの臨床で結果がなかなか出ない
今回はこのようなお悩みを少しでも解消していきたいと考え、「肩関節リハビリを学ぶ上でオススメする参考書~現役理学療法士が厳選~」というテーマの記事でお送りします。
目次
今回なぜ肩関節にトピックを当てたか
管理人は新人の頃、肩関節のリハビリの苦手意識が強くありました。
たくさんの参考書を買い漁っては読み込み。臨床で実践。
そんなことを数年繰り返していました。
ただ多くの参考書読み込むうちに、「実際この数冊を読んでいれば十分ではないか?」という結論に落ち着いたので、管理人の独断と偏見の塊ではありますが、肩関節リハビリを学ぶ上でのオススメ参考書を紹介させていただこうと思います。
・管理人のオススメする参考書6選
本記事を読み終えることで、『肩関節のオススメ参考書を知ることができ、自分にあった肩関節の参考書と巡り合える』と思います。
本題へ移る前になぜ参考書を購入する必要があるのかを一緒に再確認していきましょう。
なぜ参考書を購入する必要があるのか
理由は2つ。
・参考書ほどまとまったものはないから
・臨床で実際に結果を出している方が書いているから
あらかじめ言っておくと、参考書は論文の集まりです。
自分で有用な論文を見つけ出し、まとめることが出来る方は参考書を買う必要がありません。
ですが、自分で論文をまとめることは非常に難しいことです。
ですので、有益な情報が集約されている参考書が効率的な学習には必要不可欠なのです。
また、著者のリハビリ技術を載せているものが多いので、参考書を読むだけでも、臨床で結果を出しやすくなります。
どのタイミングで購入すればよいの?
結論から言うと、『今すぐ購入しましょう』と断言します。
なぜ今すぐ購入するべきなのか? 理由は2つ。
・いつか購入するなら、今すぐ購入した方が良い
・今後のセミナー理解度が高まる
1つずつ深掘りしていきます。
いつか購入するなら、今購入した方が良い
「いつか購入するなら、今購入した方が良いです。」
なぜなら、
今少しでも購入した方が良いなと思っている方は、いずれその参考書を購入するからです。
僕もそのタイプで、欲しいと思った参考書は、なんだかんだ購入しています。
臨床を長くしていると、徐々に参考書を読まなくなり、自分の感覚(主観的)でリハビリをしてしまう時期がきます。
そのほうが学ばなくて楽だから。
ですが、いつまでも主観的なリハビリだけをしていては、後輩や患者さんへ的確な指導ができません。
その意味でも、早いうちから、参考書ベースの知識を入れておくことが望ましいです。
少しでも購入したいな、購入した方がいいのかな?
と思う方は、これから紹介する参考書の中から1つでも良いです、選んでみてください。
今後のセミナー理解度が高まる
参考書を読む方と読まない方では圧倒的にセミナーの理解度に差が生じます。
英論文を読むときと同じで、単語の意味を知らなければ、何を書いてあるのか理解不能です。
英単語の意味が数個わかれば、概要を理解することはできます。
つまり、セミナーに参加しても、基礎的な知識が皆無だと吸収できる情報も経験値も最低限のものだけになってしまいます。
そのため、参考書で学べることは参考書で学びセミナーでは技術を学びに行くように分担することで、効率的な学習ができます。
再確認はここまでとして…
それでは本題の『肩関節リハビリを学ぶ上でオススメする参考書』を紹介します。
肩関節拘縮の評価と運動療法
僕が一番オススメする肩関節の参考書です。
▶︎肩関節拘縮に限らず、肩関節の基礎が凝縮された参考書です。
著者:赤羽根 良和
監修:林典 典雄
肩関節の参考書の中でも、一番臨床に落とし込みやすく、Web動画で実技の確認もできるので、かなりの良書です。
セミナーで実技を学ばなくても、この参考書を読み込み練習することで臨床で結果を出せる!と学ぶことができた1冊。
肩関節の参考書で悩んでいる方はもちろん、若手のセラピストにはぜひ一度読み込んでほしいです!
後輩にオススメを聞かれた時やセミナー開催時も、この書籍をオススメしました。
・肩関節の基礎が凝縮
・Web動画で実技の確認ができる
・臨床に落とし込みやすい
運動のつながりから導く肩の理学療法
▶︎肩関節と他部位のつながりがとてもわかりやすく解説されている参考書です。
編集:千葉 慎一
足関節背屈角度の制限があることで、肩関節にどのような影響を及ぼすか。
肋骨、骨盤の動きの制限で、肩関節にどのような影響を及ぼすのか。
上肢挙上時には頸部、脊柱にどのような連鎖が生まれるのか(運動連鎖)
などなど
『肩関節拘縮の評価と運動療法』 の足りない部分を補ってくれる参考書です。
そこまで分厚いものでもないので、僕は1日で読むことができました。
肩関節と他関節のつながりが知りたい、上肢の運動連鎖について学びたい方にはオススメです!
・肩関節運動につながる要素を理解できる
・上肢の運動連鎖を学べる
・分厚くないので読みやすい
痛みの理学療法シリーズ
▶︎肩関節痛・頸部痛・非特異的腰痛と特定の痛みに対しての理学療法を解説している参考書です。
こちらの参考書は現在2冊展開しており、肩関節痛・頸部痛シリーズと非特異的腰痛シリーズに分かれています。
痛みにフォーカスしており、構造の基礎だけでなく、評価、治療の手順をわかりやすく解説。可動域制限や放散痛、協調性障害など、わかりやすいケースを提示しながら「そんなときどうする?」という疑問を解決してくれます。
痛みについてお悩みの方にオススメです。
・タイトル通り「痛み」について詳しく解説されている
・わかりやすいケーススタディで評価や治療の手順を学べる
ここからは基礎中の基礎となる解剖学と触診に関しての参考書を紹介します。
数ある中から厳選して紹介していきます。
若手のうちから触り慣れておいた方が良いので、実はここが一番重要かもしれませんね。
肩関節理学療法マネジメント
僕の大好きなマネジメントシリーズ!!
▶︎肩関節ついて基礎から応用まで詳しく解説されている参考書です。
ケーススタディを用いて、その知識の使い方と考え方を解説している点がとてもわかりやすく、臨床で落とし込みやすいです。
この1冊は一番僕の思考パターンを増やしてくれたと思います。
肩関節痛の原因が他部位にあることは多々ありますよね?その疑問を紐解いてくれます。
・肩関節を全て基礎から応用まで学べる
・ケーススタディから評価や治療の手順を学べる
・様々な角度から各部位・関節を診ているので思考パターンが増える
運動機能障害の『なぜ?』がわかる評価戦略
▶︎タイトル通り運動機能障害の評価を網羅している参考書です。
肩関節以外のことも網羅しているのお得感があります。
特徴:身体全部位の疼痛原因をフローチャートで特定します。
・どう動かしたら痛むのか(力学的ストレスの明確化)
・どこが痛むのか(解剖学的評価)
・なぜ、痛むのか(運動学的評価)
僕自身、臨床でこのフローチャートに従い、運動機能障害の評価、治療を行なっています。このフローチャートにはまらなかったものに対しては、この書籍以外の知識から介入しています。
この1冊は、何も型がないセラピストの道しるべになる参考書だと思います。
この参考書を読み終えた後は、「なぜ痛みが出ているのか」自分の中で明確になっているでしょう。
若手の方には確実に手にとっていただきたい1冊ですね。
・運動機能障害の評価を網羅している
・フローチャートが便利
・「なぜ痛みが出ているのか」を明確にできる
運動器疾患の『なぜ?』がわかる臨床解剖学
▶︎『運動機能障害のなぜがわかる評価戦略』とは違い、疾患別の特徴を臨床解剖に基づきながら解説している参考書です。
優先順位は低くなりますが、この書籍も肩関節疾患をはじめ多くの代表疾患を取り上げているので、臨床ではオススメの一冊となっています。
・胸郭出口症候群
・腱板損傷
・肩関節不安定症
・肩関節周囲炎
・上腕骨外側上顆骨折
・野球肘
・上腕骨外側上顆炎
・橈骨遠位端骨折
・脊椎圧迫骨折
・大腿骨頚部骨折
・変形性股関節症
・後十字靭帯損傷
・腸脛靭帯炎
・半月板損傷
・前十字靭帯、内側側副靱帯損傷
・変形性膝関節症
・前距腓靭帯損傷
・足底腱膜炎
・外反母趾
・足根菅症候群
運動器障害の「なぜ?」がわかる臨床解剖学より引用
この目次の「なぜ?」を解消してくれる1冊です。
臨床に基づいて書かれているので、臨床で使えないことはほとんど書かれていません。
僕の勤めているクリニックでは上記の診断がつく患者さんが多いので、困った時にはこの参考書を開いて復習しています。
整形外科に勤めている方は、一度読んでおいて損はないと思います。
この書籍を読み終えると、メジャーな整形外科疾患のリアルな疑問を改善できます。
・疾患別に「なぜ?」がまとめられていて読みやすい
・臨床でよくある疑問を解説している
最後に
整形外科に勤めていると肩関節疾患の患者さんはたくさんいます。そして症状もさまざまです。
肩関節は自由度が高いからこそ、異常となる要因は多く、「これが一番の要因だ!!」と決めることも難しいです。
ですが、どの部分に障害が起きやすく、どんな要因でどの部位に痛みが出るのか。
思考の引き出しを増やしておくことで、優先順位をつけることができ、臨床で結果が出せるのではないかと思います。
臨床に立つ前に、ぜひ一度参考書に目を通してみてください。