現在は整形外科クリニックで勤務しながら医療サイトの運営にも携わっています。
今回は『肩関節の各ポジションについて解説(1st/2nd/3rd)』というテーマで記事をお送りします。
まずは臨床での疑問を見ていきましょう!
肩関節の各ポジションに違いと制限因子の判断がわからない
このような臨床上の疑問にお答えします。
本記事にたどり着いたあなたは、リハビリする上で、1stとか2ndって何?そして制限因子がわからない!という疑問を持った方が多いと思います。
その疑問を簡潔に説明していきますので、ぜひ最後までチェックしてみてください。
・肩関節の各ポジションの違い
・肩関節の各ポジションの制限因子と主動作筋
・肩関節制限因子で理解しておかなければならない4区画を解説
本記事を読み終えることで、『肩関節の各ポジション1st/2nd/3rdを理解できる』と思います!
臨床でもこの知識を活かしていきましょう!
それでは本題へ移ります。
目次
肩関節の1st/2nd/3rdのポジションとは何か?
肩関節は3軸関節の球関節でかなり自由度の高い関節で、前額面、矢状面、水平面の動きが可能です。
臨床では可動域や軟部組織の評価に「肩関節ポジション」に関する以下の用語が使われます。
▶︎1st plane(ファーストプレーン/ファーストポジション)
▶︎2nd plane(セカンドプレーン/セカンドポジション)
▶︎3rd plane(サードプレーン/サードポジション)
基本的には上記のポジションで肩関節の外旋/内旋を確認していきます。
少し難しいと思いますが、各ポジションについて簡潔に説明していますので諦めずに最後までチェックしてみてください。
肩関節の1stポジション制限因子と主動作筋について
「1st plane」は「1st position(第1肢位)」と呼ぶことができます。
この肢位は簡単に説明すると「肩の下垂位」です。
少し難しく説明すると「基本肢位(上肢を体側に下垂した肢位)から肘関節屈曲90°の肢位」になります。
肩関節の1stポジション外旋
1stポジションにおける肩関節外旋主動作筋と制限因子は以下の通りです。
▶︎主動作筋
・棘下筋上部
・小円筋
・三角筋後部線維
▶︎制限因子
・肩甲下筋上部線維
・大胸筋鎖骨部線維
・烏口上腕靱帯
・関節上腕靱帯上部線維
・前上方関節包
肩関節の1stポジション内旋
1stポジションにおける肩関節内旋主動作筋と制限因子は以下の通りです。
▶︎主動作筋
・肩甲下筋
・大円筋
・三角筋前部線維
・大胸筋
・広背筋
▶︎制限因子
・棘上筋
・棘下筋上部線維
・後上方関節包
肩関節の2ndポジション制限因子と主動作筋について
「2nd plane」は「2nd position(第2肢位)」と呼ぶことができます。
この肢位は簡単に説明すると「肩関節外転90°の肢位」のことです。
肩関節の2ndポジション外旋
2ndポジションにおける肩関節外旋主動作筋と制限因子は以下の通りです。
▶︎主動作筋
・棘下筋上部線維
・小円筋
▶︎制限因子
・肩甲下筋下部線維
・大胸筋肋骨部
・大円筋
・前鋸筋
・広背筋
・関節上腕靱帯下部線維
・烏口上腕靱帯
・前下方関節包
肩関節の2ndポジション内旋
2ndポジションにおける肩関節内旋主動作筋と制限因子は以下の通りです。
▶︎主動作筋
・大胸筋
・肩甲下筋下部線維
・大円筋
・広背筋
▶︎制限因子
・棘下筋下部線維
・小円筋
・菱形筋
・僧帽筋中部/下部線維
・後下方関節包
肩関節の3rdポジション制限因子と主動作筋について
「3rd plane」は「3rd position(第3肢位)」と呼ぶことができます。
この肢位は簡単に説明すると「肩関節屈曲90°の肢位(+肘関節屈曲90°)」のことです。
3rdを使うのは日本くらいなんだってさ。
肩関節の3rdポジション外旋
3rdポジションにおける肩関節外旋主動作筋と制限因子は以下の通りです。
▶︎主動作筋
・小円筋
・棘下筋
▶︎制限因子
・肩甲下筋下部線維
・大胸筋
・大円筋
・広背筋
・関節上腕靱帯下部線維
・前下方関節包
肩関節の3rdポジション内旋
3rdポジションにおける肩関節内旋主動作筋と制限因子は以下の通りです。
▶︎主動作筋
・三角筋前部線維
・大胸筋
・大円筋
・広背筋
▶︎制限因子
・棘下筋下部線維
・小円筋
・後下方関節包
・関節上腕靱帯下部線維
1st/2nd/3rdのポジションは厳密には正しくない?
この各ポジションは厳密には正しくないとの意見もある。
臨床では分かりやすく各ポジションを使い説明することが多いですが、実際の表記としては「下垂位」「肩関節外転90°位」「肩関節屈曲90°位」と表記することが正しいと言われています。
みなさんも表記の仕方によっては上司に指摘されることもあるので注意して使いましょう!
肩関節可動域制限因子の代表4区画をご紹介
この画像は肩関節の制限因子を探すときに重要な画像になります。
肩関節を上方、下方、前方、後方の4区画に分けています。
この画像を頭に入れておくことでこれまで説明してきた各ポジションでの制限因子が見えてきます。
▶︎1st plane(ファーストプレーン/ファーストポジション)
1stポジションは「下垂位」にあたるので、上方組織が伸張されます。
また1stポジションでの外旋/内旋はそれぞれ前上方組織/後上方組織が伸張されます。
つまり、上方組織の十分は伸張性が確保されていないと「下垂位」をとることができないので、安静時から肩関節周囲筋は緊張してしまい、安静時痛や夜間時痛に繋がることがあります。
臨床では肩関節の内転が取れない患者さんが多くいます。肩関節では外旋角度がとても注目されますが、まずは内転制限を改善していかなければ、上肢を下垂できず緊張がなかなか取れません。評価としては上方組織の伸張性を確実に確認していきましょう。
▶︎2nd plane(セカンドプレーン/セカンドポジション)
2ndポジションは「外転90°」にあたるので、下方組織が伸張されます。
また2ndポジションでの外旋/内旋はそれぞれ前下方/後下方組織が伸張されます。
外旋内旋でそれぞれの組織が伸張されますが、根本的に下方組織の十分は伸張性が確保されていないと、外旋内旋どちらも制限されてしまいますので、まずは大きな区画で制限因子を見つけていきましょう。
▶︎3rd plane(サードプレーン/サードポジション)
3rdポジションは2ndポジションから水平屈曲している肢位になるので、より後方組織が伸張されます。3rdポジションでの内旋で後下方組織の制限を強く受けます。
ということは2ndポジションの外旋ではどの区画が制限になるか分かりますか?
正解は前下方組織になります。
簡単にまとめるとこうなります⬇︎
▶︎1stポジション
外旋:前上方組織が制限因子になりやすい。
内旋:後上方組織が制限因子になりやすい。
▶︎2ndポジション
外旋:前下方組織が制限因子になりやすい。
内旋:後下方組織が制限因子になりやすい。
▶︎3rdポジション
外旋:2ndと同じ。
内旋:2ndと同じ。2ndよりも後方組織の制限を強く受ける。
自分の身体で確認できますので、一度は確認してみましょう!
さいごに
今回は、『肩関節の各ポジションについて解説(1st/2nd/3rd)』について解説しました。
今回の記事を読むことで、『肩関節の各ポジション1st/2nd/3rdを理解できる』きっかけになったのではないでしょうか?
この記事が皆様の臨床の一助になれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。