今回は、「腰椎骨盤リズムの破綻は腰痛につながる?原因はハムストリングスだけではない」というテーマで解説していきます。
臨床では腰部に問題を抱えている方は多くいらっしゃると思います。
なんとなく、腰部と股関節に介入したら良くなった。ハムストリングスストレッチしたら良くなった。
なんてこと、ありませんか?
あやふやのままでは、何が正しいのか判断できません。一緒に確認していきましょう。
腰椎骨盤リズムとは?
正常では、体幹の前後屈運動は、脊柱と骨盤・股関節の運動から構成される、複合した多関節運動になります。
この体幹の前後屈運動における、腰椎と骨盤の運動の関係性が腰椎骨盤リズム(lumbar pelvic rhythm)と言われています。
腰椎骨盤リズムでは以下のようなことが言われています⬇️
・体幹前屈50〜60° までは、腰椎の屈曲により行われ、それ以上の前屈は、骨盤の前傾を伴う。
・体幹前屈開始時から腰椎・股関節ともに運動し、70〜90° 以降で腰椎前屈は減少し、股関節は、前屈最終域まで運動する。
つまり、FFDなどの体幹前屈動作には、腰椎の屈曲がメインで行われ、徐々に股関節の動きがメインになるということです。
臨床で多いパターンとして、この腰椎骨盤リズムの破綻があります。
例えば、
腰椎屈曲可動域制限が生じることで、股関節の過度の屈曲可動域が求められ、股関節インピンジメントなどの股関節機能障害になってしまったり、
股関節屈曲可動域制限により、前屈動作において、腰椎への過度の屈曲可動域が求められ、いわゆる ギックリ腰 になる例も、たくさんみられます。
このように、どちらか一方でも可動域制限が生じると腰部、およびに股関節に問題が生じてしまうというわけですね。
腰椎骨盤リズムの制限因子は?
よく言われる制限因子は、大腿後面の筋群でハムストリングスという筋になります。
ハムストリングスは骨盤前傾制限因子の代表格になります。そのため、伸張性低下が生じている場合、前屈動作時に十分な骨盤前傾が得られず、腰椎屈曲増大代償により、腰痛が発症しやすいです。
重要な骨盤前後傾制限因子として、以下のような要因が挙げられます⬇️
・股関節周囲筋群(特に内旋筋・外旋筋)短縮
・股関節屈筋群と脊柱伸筋群のフォースカップル破綻
・股関節伸筋群と腹筋群のフォースカップル破綻
ハムストリングスに加えて、大殿筋などの股関節周囲筋の柔軟性低下とそれに伴う、股関節周囲のフォースカップル機構の破綻が影響してきます。
腰椎骨盤リズムの介入ポイントーリハビリー
じゃあ、腰椎骨盤リズムが破綻している方にはどうアプローチしていけば良いのだろうか。
それらを考える前に、このことを知っていただきたい。
・ハムストリングスのストレッチ介入が腰椎骨盤リズムにへ及ぼす即時効果について
結論:ハムストリングスを即時的にストレッチしても、腰椎骨盤リズムは変化しないです。(報告あり)
前屈動作における骨盤前傾の変化量は、股関節内旋・外旋可動域と正の相関がある。(報告あり)
つまり、股関節内旋および外旋に関わる筋群の柔軟性向上と骨盤のフォースカップル機構の協調性向上が必要となります。
長期的なハムストリングのストレッチには腰椎骨盤リズムの変化が示唆されています。
即時的に効果を出すのであれば、股関節内旋・外旋筋群の柔軟性向上が有効ではないかと思います。
そして、フォースカップルに関わる筋の協調性も獲得する必要があるので、骨盤前傾運動であれば、股関節屈筋群と脊柱伸筋群の協調性を確認。
骨盤後傾運動であれば、股関節伸筋群と腹筋群の協調性を確認する必要があります。
ちなみに、下肢エルゴメーターを行うことで、下肢後面の柔軟性が向上(膝伸展可動域向上)するとも言われています。
下肢エルゴメーターなどの全身運動では、筋温の上昇に伴い、筋粘弾性が低下し、伸張性が増大してきます。
まとめ
今回の記事で、ハムストリングス以外にも股関節周囲筋の柔軟性および、それらの筋協調性が必要になる。
ということを知っていただければ満足です。。
今回の記事が、これからの臨床のヒントになれば、幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。