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股関節周囲筋の解剖学的作用とトルク発揮寄与率について解説。

佐藤てつや
佐藤てつや
みなさんこんにちは!北海道理学療法士の佐藤てつや(@AmoPhysical)です。

 

僕は股関節の運動をしていて、気になったことがあります。

何かというと、

股関節の運動に使われる筋がどのくらいの割合で使われているのか

股関節は屈曲、伸展、外転、内転…etc と動きがたくさんあり、主動作筋は知っているのですが、どの割合で使われているのかあまり知りませんでした。

 

そこで今回は、股関節運動時にどのくらいの割合で筋が使われているかデータに基づいて解説して共有していきたいと思います。

 

※この記事を読むことでわかること

「各筋が運動にどの割合で貢献(トルク発揮寄与率)しているのか」

「股関節周囲筋の具体的な作用」

では早速確認していきましょう!!

 

股関節周囲筋のトルク発揮寄与率

トルク発揮寄与率

トルク発揮寄与率とは、運動に関わる全筋のトルク発揮に占める当核筋のトルク発揮の割合のことを示します。

 

簡単に言えば、股関節屈曲運動する際に、使われる筋が100%中、どの程度使われるかを表した値になります。

 

つまり、%が高いほど、運動時に貢献しているということになります。

 

股関節周囲筋のトルク発揮寄与率を理解する上で、知っておきたいこと

まずはじめに、股関節は3軸の関節であり、自由度が高いため、股関節の肢位の変化に伴って、

・筋と股関節中心の位置関係→モーメントアームがダイナミックに変化

していきます。

 

このモーメントアームの変化は、筋トルクの増減のみならず、筋の作用の逆転現象(屈曲→伸展になったり)を生じる場合もあるので知っておきましょう!

 

 

股関節屈曲筋群の解剖学的作用とトルク発揮寄与率の割合

股関節屈曲作用を有する主な筋群
大腿直筋 30.0
腸腰筋 20.8
長内転筋 15.0
大腿筋膜張筋 8.3
恥骨筋 5.9
縫工筋 5.7
短内転筋 5.3
外閉鎖筋 5.1
小殿筋前部 2.4
薄筋 1.5

股関節屈曲運動のなかでも特徴的な筋は、

・大腿直筋

・腸腰筋

この腸腰筋、大腿直筋が発揮する股関節屈曲トルクは、股関節屈曲角度に応じて変化します。

 

大腿直筋

大腿直筋は、股関節屈曲10~30°付近で強いトルクを発揮します。

逆にこの角度以外では、股関節屈曲トルクの発揮は減少していきます。

なぜ減少していくのかというと、理由は2つあり、

・股関節伸展位ではモーメントの減少

・股関節屈曲位では筋長の低下

これらの変化により、いずれも股関節屈曲トルクの発揮が減少してしまいます。

 

腸腰筋

腸腰筋は、股関節屈曲において大腿直筋と同様に筋長が短くなりますが、股関節前面での筋の折れ曲がりを考慮すると屈曲位でも伸展位でもモーメントアームの変化は小さく、発揮トルクも比較的保たれるということが報告されています。

つまり、股関節伸展域や深屈曲位では、大腿直筋よりも腸腰筋の発揮トルクが相対的に大きくなりやすいということです。

 

また、腸腰筋を構成する腸骨筋、大腰筋は解剖学的肢位での前額面、水平面での作用は小さいと言われていますが、角度が変化するとわずかにモーメントアームを持つと言われています。

例えば、

大腰筋は股関節中間位および内転位あるいは屈曲位では内転作用を示します。

 

腸骨筋は股関節外転位では外転の作用を示し、股関節内転位では内転の作用を示します。腸骨筋はその他に、常時わずかな股関節内旋モーメントアームを持っています。

両者の筋だけで、股関節屈曲の50%以上に貢献するので、股関節屈曲運動を見る上で絶対無視できないですね。

 

 

股関節伸展筋群の解剖学的作用とトルク発揮寄与率の割合

股関節伸展作用を有する主な筋群
大殿筋 31.9
大内転筋 23.0
大腿二頭筋 14.1
中殿筋 14.0
半腱様筋 7.9
半膜様筋 7.5

股関節伸展筋のなかでも特徴的な筋は、

・大殿筋

・大内転筋

・ハムストリングス

上記の3筋は、股関節屈曲角度に伴うモーメントアームの変化に特徴があります。

 

大殿筋

大殿筋のモーメントアームは股関節屈曲位で小さく、股関節屈曲角度が小さくなるほど増加する。

大殿筋とハムストリングスは、いずれも股関節軽度屈曲位で伸展トルクが最大となるため、股関節伸展位では、大殿筋の伸展トルクへの貢献度が高くなっていきます。

 

大殿筋はハムストリングとも関係があり、股関節肢位の違いによりハムストリングスによる股関節回旋作用が変化すると言われています。

半腱様筋は、解剖学的肢位ではわずかに内旋の作用を有しますが、

股関節外旋位では内旋モーメントアームは増大し、内旋作用が増大し、

股関節内旋位では外旋モーメントアームが増大し、外旋作用を増大します。

 

大内転筋

大内転筋のモーメントアームは、股関節屈曲角度が深いほど大きく、屈曲0°にかけて徐々に減少していきます。

 

ハムストリングス

ハムストリングスのモーメントアームは、股関節屈曲30~40°付近がピークとなり、屈曲角度がそれよりも大きくても小さくてもモーメントアームは減少していきます。

 

 

股関節外転筋群の解剖学的作用とトルク発揮寄与率の割合

股関節外転作用を有する主な筋群
中殿筋 62.1
小殿筋 15.6
大腿直筋 8.0
大腿筋膜張筋 5.5
腸腰筋 4.0
縫工筋 2.6
梨状筋 2.1

中殿筋

中殿筋は、最も強力な股関節外転筋と言われています。

ですが、股関節中間位と比較すると、股関節内転位、外転位では外転モーメントアームが減少します。

体幹、骨盤のに対して垂直に位置していないと、中殿筋の筋力はフルに発揮できないということです。

 

さらに、中殿筋は股関節の外転に伴って、筋長が低下し、股関節外転トルクが減少します。

また、中殿筋前部線維が発揮する股関節外転筋力は、股関節屈曲に伴い減少します。

 

 

小殿筋

股関節外転運動において、小殿筋は中殿筋に次いで高い寄与率を誇っている。

 

小殿筋は股関節内外転角度が変化することで、相対的な寄与率の変化していきます。

中殿筋は外転運動に伴い、筋活動が低下することに対して、小殿筋には大きな大きな変化は見られない。

つまり、股関節外転位では小殿筋の相対的な寄与率が増加する傾向にあると判断することができます。

 

 

股関節内転筋群の解剖学的作用とトルク発揮寄与率の割合

股関節屈内転作用を有する主な筋群
大内転筋 30.2
長内転筋 14.3
短内転筋 10.6
外閉鎖筋 9.6
大腿方形筋 8.6
大腿二頭筋 6.9
大殿筋 6.7
薄筋 4.6
恥骨筋 2.9
内閉鎖筋 2.4
半腱様筋 1.8

股関節内転筋群では、股関節屈曲・伸展の作用においてダイナミックな変化が生じる。

大内転筋・長内転筋

大内転筋の後部線維以外の主要な内転筋群は、解剖学的肢位のおいて股関節屈曲作用を有しています。

内転筋群は、股関節屈曲モーメントアームは股関節屈曲に伴い、徐々に減少し、大内転筋の次にトルク発揮寄与率が高い長内転筋では股関節屈曲45~60°程度で伸展モーメントに逆転する現象が見られます。

 

つまり、それより股関節屈曲位では長内転筋は股関節伸展作用を持つということになります。

 

そして股関節内転筋群の伸展モーメントは、股関節屈曲角度が大きくなるにつれ、股関節伸展モーメントアームは増大していきます!

股関節屈曲90°では、大内転筋の伸展モーメントアームは、大殿筋やハムストリングスよりよりも大きいとの報告があります!

 

まとめると、

股関節内転筋群は、股関節伸展位では屈曲筋として働きます。

股関節深屈曲位で伸伸展として作用する。

 

このことからもわかるように、股関節内転筋群は股関節の屈曲制限、伸展制限になり得るということは注意してください。

 

 

股関節外旋筋群の解剖学的作用とトルク発揮寄与率の割合

股関節外旋作用を有する主な筋群
大殿筋 29.9
中殿筋後部 28.8
内閉鎖筋 16.0
大腿方形筋 9.8
梨状筋 5.0
大腿二頭筋 3.2
下双子筋 2.7
上双子筋 2.5
小殿筋後部 2.0

股関節外旋筋群は股関節屈曲角度の変化によって、作用がダイナミックに変化する特徴を有しています。

大殿筋・中殿筋・外旋筋群

大殿筋や中殿筋後部線維、短外旋筋群などの股関節の後外側に位置する筋群は、解剖学的肢位で股関節外旋に作用します。

 

しかし、股関節が屈曲するに伴い、外旋モーメントアームは低下し、股関節屈曲90°位では、大殿筋上部線維、梨状筋は内旋作用を有する。

 

ただし、大殿筋下部線維や内・外閉鎖筋、大腿方形筋などは、屈曲角度が変化しても常に外旋作用を有する。

 

 

梨状筋のモーメントアームについてもう少し詳しく解説します。

解剖学的肢位から股関節が屈曲すると徐々に外旋モーメントアームは減少し、およそ屈曲60°屈曲位で回旋に関わるモーメントアームは0になります。

ここからさらに屈曲することで、梨状筋は内旋作用を有するようになります。

 

梨状筋のストレッチについてもう少し詳しく解説します。

上記のようにモーメントアームの逆転が生じると筋が伸張される方向も逆転されます。

解剖学的肢位では、股関節内転と内旋で伸張されるが、股関節屈曲90°屈曲位では内転と外旋で伸張されることになります。

 

また、60°屈曲位では、股関節の回旋による影響は少なく股関節の内転で伸張される。

 

これらの肢位の中では、股関節屈曲90°屈曲位での内転、外旋で最も伸張される!!

 

 

股関節内旋筋群の解剖学的作用とトルク発揮寄与率の割合

股関節内旋作用を有する主な筋群
中殿筋前部 50.2
腸腰筋 13.8
小殿筋前部 9.8
長内転筋 6.1
半腱様筋 4.2
恥骨筋 3.9
短内転筋 3.0

中殿筋

股関節内旋運動の50%貢献する筋が中殿筋になります。

中殿筋の中でも主に前部線維が貢献。

中殿筋は前部線維と後部線維、または前部、中部、後部に分けることができ、

水平面では前部線維が内旋作用を有し、後部線維が外旋の作用を有しています。

歩行では前部、中部、後部の各線維による大きな違いは見られないという報告もあるので、歩行に関しては、中殿筋全体の筋力は重要ということですね。

 

 

まとめ

みなさん、文字が多くて申し訳ございません!!笑

この記事がこれからの臨床のヒントになれば幸いです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

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佐藤てつや
北海道の整形外科クリニックで理学療法士として勤務。 運動器リハビリについての役立つ情報を共有していきます。
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