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リハビリで考えるべき膝関節と股関節の7つの関係性【運動連鎖も簡単に解説】

悩める人
悩める人
膝関節に原因はないって言われるけどどうゆうこと?
膝痛い人に股関節アプローチするのはなんで?

 

このような臨床上の疑問にお答えします。

 

本記事にたどり着いたあなたは、リハビリする上で、膝関節以外の部位に問題があるのではないか?それは股関節なのではないか?という疑問を持った方ではないでしょうか。

 

私も疑問を感じた一人です。

上司
上司
股関節は膝関節よりも中枢にあるからとても重要ですよ。

 

何度も上司に言わてれた言葉です。

何がどう重要なんだろうと、いつも考えていました。

 

考え、悩み、解決してきた結果、7つの重要性にまとめることができました。

 

そこで今回は、「リハビリで考えるべき膝関節と股関節の関係性」について重要なポイントを7つ紹介したいと思います。

 

本記事を読み終えたら、臨床で股関節に介入すべきポイントを見ることができ、多くの仮説を立てられるようになると思います。

 

本記事の内容はこちら

・筋の付着部から考える股関節安定性の重要性
・ACLとPCLによる膝関節の静的安定性
・股関節外転機能には膝関節内反抑制する作用がある!?
・股関節と膝関節の運動連鎖から考える。
・大腿骨に対するーフォースカップル的役割
・速筋線維の賦活が重要
・KAMと骨盤の関係性

 

膝関節と股関節の関係性 概論

まずは大まかに膝関節と股関節の関係性について整理していきましょう。

膝関節の解剖と股関節との協調性

膝関節は大腿骨と脛骨、膝蓋骨により構成される関節です。

隣接する関節として、近位には股関節、遠位には足関節が存在します。

 

膝関節の作用は、基本的に膝関節屈曲と伸展ですね。
この作用は普段の生活の中でも多く使われ、歩行や階段、立ち座りなど、上下運動を行う際には必要不可欠な作用です。

 

この作用を適切に行うには、股関節に協調的な大腿骨の制御足関節の協調的な脛骨の制御が必要になります。

 

つまり、歩行や立ち座りなどの目的を持った動作を遂行する場合には、股関節と足関節の協調性を持ち、さらに膝関節特有の機能を発揮しないといけないと言うことです。

 

隣接関節の協調した機能がなければ、さまざまな環境に適して膝関節機能を発揮してくれません。

バランス悪い人
バランス悪い人
足場が悪い道などでは、すぐに転倒してしまいます。

 

ここまでで、「やっぱり股関節は重要なんだな」と少しでも思った方は読み進めてみてください。

 

 

筋の付着部から考える股関節安定性の重要性

膝関節において、あらゆる場面で安全な運動や動作を遂行するためには、安定性可動性が必要になります。

そこで今回は「膝関節における股関節の重要性」がテーマなので隣接関節である股関節がどのように関与しているのか確認していきます。

 

ここで重要になるのは、一度は聞いたことのある開放運動連鎖(open kinetic chain:OKC)と閉鎖運動連鎖(closed kinetic chain:CKC)です。

開放運動連鎖(open kinetic chain:OKC)
四肢の末梢が床面や座面に固定されていない運動。末梢部が中枢部に対して運動すること。

 

閉鎖運動連鎖(closed kinetic chain:CKC)
四肢の末梢が床面や材面に固定された状態での運動。中枢部が末梢部に対して運動すること。

 

膝関節で考えると、

開放運動連鎖では大腿骨上で脛骨が動き、閉鎖運動連鎖では脛骨上を大腿骨が動きます。

 

このように、膝関節の可動するためには、大腿骨と脛骨の相対的な運動連鎖の結果が必要なのです。

 

悩める人
悩める人
なんで股関節でこの運動連鎖が重要になるの?

 

それは、膝関節に作用する膝関節周囲筋が骨盤ならびに大腿骨に起始する筋がほとんどだからです。

 

起始つまり、付着部である土台が安定していることが求められるので、膝関節の安定性・可動性を発揮するためには膝関節よりも中枢にある股関節の安定性が必要不可欠なのです。

 

 

ACLとPCLによる膝関節の静的安定性

膝関節に過度なメカニカルストレスを受けないように動作を遂行するためには、膝関節の安定性が必要になります。

膝関節の安定性には静的安定性動的安定性があります。

静的安定性:骨構造や靭帯、関節包、半月板など

動的安定性:筋群(特に内側広筋と膝窩筋)

 

この両者が正常に発揮することで膝関節は安定に可動することができます。

今回は静的安定性に関して解説していきます。

 

膝関節の静的安定性

膝関節の静的安定性は、膝関節の構成体である骨や靭帯、関節包、半月板などの膝周辺組織が担っています。

この中でも靭帯に注目していきたい。

代表的なものとして前十字靭帯(anterior cruciate ligament:ACL)と後十字靭帯(posterior cruciate ligament)があります。

 

ACLとPCLはそれぞれの作用として膝関節における矢状面上での安定性に関与します。

両者が交差することで矢状面だけでなく、前額面上での安定性にも関与してきます。

 

このACLとPCLは、膝関節屈曲0~60°の間において、大腿骨に脛骨が内旋することで、膝関節の中心で捻れ合い、膝関節の適合性を高めてくれます。

 

悩める人
悩める人
どの場面で使われるの?歩行で?

 

歩行での、初期接地(IC)~荷重応答期(LR)で膝関節に大きく貢献すると言われております。

IC~LRにかけて

大殿筋の求心性収縮による大腿骨の外旋位での固定
前脛骨筋の遠心性収縮による下腿の前傾と内旋運動

 

この2つの働きにより、膝関節は相対的に屈曲・内旋し、ACL・PCLの作用が働き、膝関節を安定させていきます。

 

これらが正常に働くことで、初めて荷重の受け入れができるようになります。

 

 

 

股関節外転機能には膝関節内反抑制する作用がある!?

この項目では、臨床でよく言われる「膝の外側を安定させるためには股関節の外転筋が重要だよ」について、「果たしてそれは本当なのか?」という視点で話をしていきます。

 

股関節外転筋は本当に重要なの?

膝関節の動的安定性は筋の働きにより担保されています。

矢状面では、大腿四頭筋ハムストリングスで安定しているが、前額面上では、主作用で膝関節の左右を安定してくれるものはあまりないんですよね。

そのため、腸脛靭帯や大腿筋膜張筋、大殿筋、中殿筋などの股関節周囲筋が膝関節の内反外反に関与して安定させていると言われています。

 

ここまでで考えてみると、股関節周囲筋が膝関節の内反外反を担保していると思いますよね?

ですが、研究ではこのように言われています。

Noyesらは新鮮凍結遺体膝を用いて、ACL、前外側靭帯、腸脛靭帯が膝関節の回旋安定性に貢献しているかを検討。
▶︎結果:正常膝に対してはACL欠損膝は脛骨の前方および内旋不安定性が増加したが、前外側靭帯および腸脛靭帯の切除を追加しても、前方および内旋不安定性は優位に増加しなかった。

 

つまり、前外側靭帯や腸脛靭帯による膝関節の内反・外反の安定性に関与しているとは言い切れないのである。

 

また、臨床では大腿筋膜張筋ならびに腸脛靭帯の過緊張による問題がよく見られると思います。

腸脛靭帯が過緊張なることで脛骨は後方・外旋・外反方向へ変位します。

 

つまり、腸脛靭帯の過度の緊張は、膝関節の静的安定性に重要なACLとPCLによる接合性を破綻させる可能性を有していることになります。

 

このようなことを考えると、腸脛靭帯や大腿筋膜張筋に限っては、膝関節の内反・外反の安定性を高めているということは肯定できなくなりますね。

安定させるためには重要な筋群ですが、バランスが崩れ、過緊張になることで障害につながることも考慮しながら、臨床に生かしていきましょう。

 

 

大殿筋の重要性は以下で解説します。

大腿骨に対するーフォースカップル的役割

概論で説明したように、膝関節の安定性・可動性を保つためには中枢に近い股関節の安定性が重要であることを解説してきました。

この股関節の安定性の中には、「大腿骨のフォースカップル機構」が関係してきます。

結論から言うと、

大殿筋大内転筋による股関節の動的安定性向上です。

 

まずはそのぞれの作用を見ていきましょう。

▶︎大殿筋:股関節伸展・外転・外旋

▶︎大内転筋:股関節伸展・内転・内旋

このように股関節伸展方向への動きを有する際に、フォースカップルを形成し、相対的に大腿骨を安定させています。

フォースカップル:動作において2つ以上の金が協同して作用すること。
それらにより、効率的な動きや安定性を供給する筋の組み合わせのこと。

 

ADLでは立ち上がりや歩行などで使われることが多いです。

膝OA患者は健常者と比較して、殿筋群と内転筋群の筋出力が低いと言われていることからも上記のフォースカップル機構との関係も大きいと思われます。

 

 

股関節と膝関節の運動連鎖から考える

日常生活を送る上で人間は多関節運動連鎖を駆使しています。

簡単に解説すると、膝関節を動かす時には足関節や股関節、脊柱などなど、連鎖のように動きが波及することです。

この連鎖があることで、効率よく動作を遂行することができ、破綻することで床反力を吸収できなくなります。

 

つまり重要ということですね。笑
簡単に解説していきます。

 

多関節運動連鎖には上行性連鎖(足部→骨盤)と下行性連鎖(骨盤→足部)が存在します。

▶︎下行性運動連鎖(簡単に)

骨盤前傾→股関節屈曲・内転・内旋→膝関節伸展・外反・外旋→距骨下関節回内

骨盤後傾→股関節伸展・外転・外旋→膝関節屈曲・内反・内旋→距骨下関節回外

このように近位で行われる運動が連鎖として下行していきます。

▶︎上行性運動連鎖(簡単に)

距骨下関節回内→膝関節屈曲・外反・内旋→股関節屈曲・内転・内旋

距骨下関節回外→膝関節伸展・内反・外旋→股関節伸展・外転・外旋

このように遠位で行われる運動が連鎖として上行していきます。

 

臨床ではこの運動連鎖が破綻し、特定の部位にストレスがかかり続け、構造の破綻に繋がるケースがあります。また、破綻以外にも、連鎖が固定され続け、過負荷になるケースもあるので覚えといてください。

 

速筋線維の賦活が重要

膝OA患者さんは、

・二関節筋である大腿二頭筋の筋活動が優位(立ち上がり動作の離殿以降)

・下肢筋の中でも速筋線維の動員が困難

と言われています。

この2点からも、坐骨に付着している大腿二頭筋の調整と速筋線維をより賦活させた運動を選択する必要があります。

バランスを崩した際に、反射的に足が出ないのも、速筋線維が賦活していないことが要因の1つになっております。

 

KAMと骨盤の関係性

KAMとは膝OA患者さんにおける歩行時の膝関節内側コンパートメントへの圧縮応用を反映するメカニカルストレスの指標としての外部膝関節内転モーメントのことです。

このKAMは膝OAの病態進行の危険因子の1つです。

 

膝関節OA患者とKAMの関係性は以下の通りです。

膝OA患者のKAMは健常者よりも優位い高位であり、膝OA患者の胸椎骨盤の回旋運動は健常者よりも、優位に低下している。

つまり、胸椎および骨盤回旋運動の低下は、KAMを増大させ、膝OAの進行を進める可能性があるということです。

 

このことからも骨盤運動が膝関節の安定性と可動性に関与していることがわかります。

 

 

まとめ

以上が膝関節と股関節の7つの関係性でした。

下記にもまとめてみました。

・筋の付着部から考える股関節安定性の重要性

・ACLとPCLによる膝関節の静的安定性

・股関節外転機能には膝関節内反抑制する作用がある!?

・股関節と膝関節の運動連鎖から考える

・大腿骨に対するーフォースカップル的役割

・速筋線維の賦活が重要

・KAMと骨盤の関係性

 

あなたが担当している患者さんにも上記のどこかに当てはまる人がいると思います。

ですので、それぞれのポイントについて理解し、確認していきましょう。

 

本記事が少しでもあなたの臨床に役立つことを願っております。

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

ABOUT ME
佐藤てつや
北海道の整形外科クリニックで理学療法士として勤務。 運動器リハビリについての役立つ情報を共有していきます。
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