下腿

膝関節疾患における足部の影響と重要性について語る。

みなさんこんにちは。
今回は、『膝関節疾患における足部の影響と重要性』というテーマで解説していきます。

膝関節というのは、足関節と股関節の中間に位置する関節です。さらには、上半身重心の位置などでも膝関節には、影響を及ぼします。

かなり多くの要因から、膝関節は正常な働きを示さなくなります。いくつかの要因の中でも、今回は唯一床に接する、足部に注目して解説していきたいと思います。

 

足部機能が膝関節の機能に関連している

どうして足部機能が膝関節機能に影響しているのだろうか?
簡単に説明すると、膝間は介在関節であり、荷重下では、身体における下部からの影響は上部で代償する作りになっているためと言えます。

膝関節に関与する足部の役割として、以下の3点が注目ポイントです。

・身体の土台として役割(下腿傾斜の制御)
・自重の支持と衝撃吸収
・センサー機能

この3点を膝関節機能を踏まえて、それぞれ解説していきます。

身体の土台として役割(下腿傾斜の制御)

なぜ身体の土台と言われているのか?

それは、
・足部および足関節は、荷重下において唯一地面に触れる部位であるため。
・荷重下の運動では、足部を支点として、下腿の傾斜することで、効率的な支持基底面内(BOS)へ身体重心を制御することができるため。

これらのことから、身体の土台としての役割があると言われています。

もし、下腿の傾斜が制限されるようなことがあれば、本来下腿の傾斜で行うはずの支持基底面内への重心の制御を、上半身質量中心の偏移で対応しなければならないことになる。

この条件では、上半身質量中心の偏移で代償を続けるため、上半身の安定性の低下にも関与してきます。
さらには、常時同じ力学的ストレスが膝関節に生じるので、同時に膝関節機能の破綻につながる可能性があります。

 

以下に、臨床でよく見られる、下腿外側傾斜制限と下腿の過剰な外側傾斜の2パターンの例をあげていきます。

下腿の外側傾斜制限(下腿内側傾斜)

荷重下での下腿外側傾斜の制限が生じると、
前額面上での外反ストレスが加わり、膝関節外側では、圧縮ストレスが増強。
膝関節内側では、膝関節内側を支持する役割がある、内側側副靱帯(MCL)縫工筋半腱様筋薄筋に遠心性収縮様の過剰な伸張ストレスが加わることになります。

 

下腿の過剰な外側傾斜

荷重下で、下腿の過剰な外側傾斜が生じると、
前額面上での内反ストレスが加わり、膝関節内側では、圧縮ストレスが増強。
膝関節外側では、膝関節外側を支持する役割がある、外側側副靱帯(LCL)腸脛靭帯、大腿二頭筋に遠心性収縮様の過剰な伸張ストレスが加わることになります。

 

じゃあ、どうして下腿の傾斜に制限が生じてしまうのか?

この制限の要因で一番多いのは、距骨下関節および距腿関節を中心とした複合的な可動性の有無です。

本来、距骨下関節および距腿関節が正常にはまり込むことで、足関節は安定してきます。
しかし、背屈の可動性を求められた時に、距骨下関節および距腿関節に制限が生じると、代償的に下腿の左右傾斜で重心を保とうとしてしまいます。その結果が、下腿の過剰な傾斜につながってしまうのです。

つまり、下腿の傾斜は、距骨下関節および距腿関節に依存しているとも言えるので、背屈の可動性はあるのだろうか。特に膝伸展位での背屈はあるのだろうか。このポイントが歩行でも重要になってきます。

 

自重の支持と衝撃吸収

タイトル通り、足部・足関節は、荷重下において常に自重を支持し、さらには衝撃吸収を図っています。この機能が破綻すると、足部機能が働かず、膝関節での衝撃が増大すると言われています。どういうことか、解説していきます。

まず、足部には、力学的視点から2つの機能が存在します。

・柔軟性
・剛性

上記の機能を実行するには、足部におけるアーチ構造(内・外側縦アーチと横アーチ)が重要な役割を果たします。

なぜ重要なのかということを、衝撃吸収の解剖学的メカニズムとアーチを絡めて解説していきます。

衝撃吸収

歩行による、床半力の衝撃吸収の際には、距骨下関節回内に伴うアーチ下降のメカニズムが重要になってきます。

距骨下関節回内が生じると、距骨と踵骨の位置関係が上下から左右の関係となり、さらに立方骨の位置も変化することで、アーチが下降していきます。

アーチが下降すると、距骨の前踵骨関節面は、踵骨の前距骨関節面から足底へ逸脱し、距骨頭の一部を底側踵舟靭帯が支える形になります。

つまり、底側踵舟靭帯の支持が、衝撃吸収の一端を担うと言えます。

また、底側踵舟靭帯のすぐ底側には、後脛骨筋の腱が走行しており、底側踵舟靭帯と共に遠心的に距骨の落ち込みを支えています。

このように、衝撃吸収には後脛骨筋の遠心性収縮の筋出力・張力が必須であり、この筋機能が破綻すれば、膝関節で代償的な衝撃が加わり、膝関節機能の破綻につながっていきます。

佐藤てつや
佐藤てつや
後脛骨筋の張力が減少すると、内側縦アーチが降下するとの報告は有名な話ですね。

余談として、衝撃吸収は、踵部皮下組織でも行なっています。
踵部皮下組織は踵骨内側突起皮下の約1.6cm程度存在しており、圧迫荷重に耐えられる構造になっています。

 

自重の支持

自重の支持で重要なポイントは、アーチの剛性となります。

アーチの剛性で重要なこと⬇️
アーチの剛性では、距骨下関節の適合性とショパール関節の運動軸、立方骨の位置が重要となります。

簡単にいうと、距骨下関節回外位では、アーチが下降することができず、中足部でも楔状骨間の楔(くさび)が交差し、中足部、前足部共に、締まる状況となる。このことが足部の剛性が高いと状況ということ。

佐藤てつや
佐藤てつや
もちろん、これらを支える筋の収縮張力も重要ですよー。

 

センサー機能

人間は荷重下において、足底は常に地面に設置し、足圧を生じさせています。

この時、足底の感覚系から中枢神経系に求心性情報を送っており、それに応じた姿勢制御を行なっています。この足底からのフィードバックは、前庭系のフィードバックよりも早いと言われているので、かなり足底からの情報は重要になってきます。

足底以外にも足部には、各関節で情報の伝達が細分化されており、それぞれが中枢に情報を送り、細かな姿勢制御を行なっています。

例えば、

足趾:体重移動の認識
ショパール関節:地面の形状
距骨:地面の傾斜
足底:地面の素材・質感・摩擦・支持基底面

など、足部の機能・構造的破綻が生じていると、この細かな情報が知覚困難になるということになります。

それでは、結果として、姿勢制御で求められる筋出力が発揮できず、足部よりも上方の組織で代償することになる。その代償も、運動の自由度が低い運動になるため、画一的なストレスとなって、膝関節などが、再び悪循環を生むような構造へと変貌する可能性が高まります。

この画一的なステレスは膝関節に多いと言われています。

 

まとめ

この記事で一番お伝えしたいことは、足部・足関節の機能が膝関節にかなり影響を及ぼしているということです。

足部機能である、

・身体の土台として役割(下腿傾斜の制御)
・自重の支持と衝撃吸収
・センサー機能

が障害されると、足部から運動の偏りが生まれ、自由度が減ってしまい、膝関節への画一的なストレスが生じてしまいます。

このことを念頭に入れながら、臨床で足部を見てみると、また、新たな視点が見えてくることでしょう。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

ABOUT ME
佐藤てつや
北海道の整形外科クリニックで理学療法士として勤務。 運動器リハビリについての役立つ情報を共有していきます。
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